「貧困を救えない国日本」阿部彩、鈴木大介著
2015年のデータによると、日本の相対的貧困率は15.7%で、経済開発協力機構35カ国中28位。相対的貧困率とは、社会の標準的な生活習慣や行為を行うことができない人の割合で、15年では手取りの年間所得が1人世帯で122万円以下、4人世帯で244万円以下の世帯を指す。それでも政治家は日本に本当の貧困などはないと公言してはばからない。
本書は、社会政策学者の阿部氏と貧困家庭の現場を長年取材してきた鈴木氏が、日本の貧困問題の現実と本質を語り合う対談集。
「でたらめな理解、事実と違う見方、常識の嘘」がはびこる間違いだらけの貧困イメージを正し、なぜ貧困を放置してはいけないのか、対処するための財源はどうするかなど、責任論が横行する問題に一石を投じる。
(PHP研究所 920円+税)