「土・牛・微生物」デイビッド・モントゴメリー著 片岡夏実訳

公開日: 更新日:

 牛などの反すう動物のげっぷにはメタンガスが多く含まれ、それが地球温暖化を進めていると、あたかも温暖化の元凶のようにいわれている牛だが、本書では逆に、温暖化を防止する救世主として登場する。土・牛・微生物と三題噺めいたタイトルだが、現在の地球環境を取り巻く問題を土壌の側面から包括的に論じたもの。著者は既に「土の文明史」「土と内臓」を上梓しており、本書は土3部作の完結編だ。

 開巻劈頭(へきとう)「革命が起きようとしている――土壌の健康の革命が」という刺激的な言葉が飛び込んでくる。逆にいえば、現在地球上の土壌が危機に瀕しているということにほかならない。著者によれば、世界各地の耕作地の3分の1が劣化しており、それに比して作物生産力も低下している。このままいけば深刻な食糧危機を招きかねない。

 その元凶は犂(すき)、化学肥料、農薬。犂などで土を掘り起こすと養分を蓄えている土壌の表面を押し流してしまう。窒素、リンなどの化学肥料の大半は作物に吸収されずに川や海に流れ込み汚染を引き起こす。農薬はいわずもがなだろう。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出