「小水力発電が地域を救う」中島大著
1981年、エコブームを背景に有機農業、反原発などをテーマに掲げていた、学者、市民団体などが「水車むら会議」という団体を立ち上げ、そのシンボルとなる上掛け水車の建設を始めた。
当時学生だった著者が、この工事に参加したのは翌82年のこと。以来、2005年にはボランティアで小水力利用推進協議会を、09年には小水力開発支援協会という社団法人を設立する。
こうした活動を通して、次々と山村が蘇っていく岐阜県九頭竜川流域の石徹白地区。著者自身が現地調査して、小水力発電は十分可能と判断、16年には農協営発電所が運転を開始した。この他、熊本では棚田発電を利用するなど、地域の事情に見合った開発で数々の成果を上げていった。本書は未来の山村を活性化するための新たな提言書。 (東洋経済新報社 1400円+税)