「蛇足屋勢四郎」中村朋臣著
千住小塚原の刑場で斬首され埋められた罪人の屍を持ち去る盗っ人が出没。風評被害に悩む旅籠の主人らに頼まれた便利屋の勢四郎が、深夜、刑場で待ち伏せていると、賊が現れた。しかし、彼らの頭領と思われる男は、剣術では江戸で5本の指に入るといわれる勢四郎と互角の腕前で、屍を盗む理由も問いただせぬまま逃げられてしまう。
翌日、今はほうき屋として世をはばかりながら隠密で悪人退治をしている元大目付・近藤に呼び出された勢四郎は、最近、商家を狙う強盗が相次いでいると教えられる。どうやら、その一味の背後には、勢四郎の因縁の相手・鳶沢がいるようだという。
奉行所に聞き届けてもらえないような困りごとを片付ける「蛇足屋」勢四郎が活躍する剣豪小説。
(光文社 700円+税)