「からだのための食材大全」池上文雄ほか監修 NHK出版編
「フィサリス」「パースニップ」「マニキュアフィンガー」……なんとも洒落た名前だが、その正体をご存じだろうか。
実はすべて食べられるもの。順番に食用ホオズキ、白ニンジンなどの名で売られているセリ科の野菜、そしてブドウの品種である。
飽食の時代といわれて久しく、日本人は世界中の食材を集め、自国に居ながらにして、ありとあらゆる料理を堪能してきた。一方でメタボや生活習慣病の蔓延で食生活の見直しを迫られてもいる。
前述のフィサリスは、肝機能低下を防ぐとともに、ストレスによる脱毛を防ぐ効果があるビタミン様物質「イノシトール」などのさまざまな栄養素を含み、最近日本でも栽培が始まっているそうだ。
本書は、こうした新しい食材から定番まで1000種以上の食材を網羅して解説するカラー図鑑。
例えば、万能野菜の大根は、根の部分の95%は水分で、ビタミンやミネラルは根よりも葉に多く含まれている。でも根には、でんぷんや脂質を分解したり、発がん性物質を解毒するなどのさまざまな酵素が含まれているという。
さらに切らずに「ス」が入っているかどうかを見分ける方法や、大根と魚の組み合わせはがん予防になるといった「食べ合わせ」、保存法や旬などの実用的な情報も紹介。買い物や献立づくりのヒントにもなる。
料理の彩りによく使われるさやえんどうが、実は体の組織の修復を促し疲労を回復したり、肌の組織を整えたりするなどの老化防止のほか、集中力を高める必須アミノ酸の一種である「リジン」も含んでいるなど、意外な食材の底力に目からうろこで、見直してしまう。
普段何げなく口にしている食材の本当の実力を知ると、食事が一味も二味も違ってくるはず。
(NHK出版 2800円+税)