「ひとりメシの極意」東海林さだお著
週刊誌連載の人気食エッセーの中から「ひとり」をテーマに選んだ傑作選。
昼間、神田神保町のビアホールの2階の席に陣取り、眼下の靖国通りの通行人を眺めながらひとりで飲む生ビールのおいしさ。ドアは手動で、自動ドアなどもってのほか。メニューは黒板に白墨書き、主人と妻は無愛想などの諸条件を満たした古典的定食屋で食べるサバ味噌煮定食。コンビニから消えた「カレーマン」が食べたくて肉まんにカレーパンの中身を移植手術して自作した「中華カレーマン」の味など。店や自宅、仕事場での孤食の愉楽を軽妙につづる。
他にも、カツカレーの正しい食べ方や駅弁が10倍おいしくなる儀式に同感したり、思わずにやけたり。ひとり酒の達人・太田和彦氏との対談も収録。
(朝日新聞出版 910円+税)