「残業税マルザの憂鬱」小前亮著
元フリーターの夏目は、親戚の営むデイサービスに就職したが、激務で体を壊してしまう。数日後、出社すると会社は同業者に買収されていた。再雇用された夏目は、以前では考えられなかった待遇に満足し、仕事にもやる気を覚える。
そんなある休日、派遣社員のひとみに誘われ食事に行った夏目は、彼女から残業代のことをしつこくたずねられる。おまけにひとみといるところを同棲中の恋人・海羽に目撃され、海羽は家を出て行ってしまう。翌日、出社するとひとみはクビになっていた。(「ボランティア・ケア」)
労働者を守るために残業代に「時間外労働税」が導入された社会を舞台に、長時間労働の現場で働く人々と彼らを救うために活躍する残業税調査官=マルザを描くお仕事ミステリー。
(光文社 720円+税)