「図書館司書と不死の猫」リン・トラス著、玉木亨訳

公開日: 更新日:

 ケンブリッジの図書館を定年退職したばかりのアレック・チャールズワースが、休暇先のコテージで、奇妙なメールを読み始めたところから物語は始まる。ウィンタートン博士と名乗るメールの送り主についての記憶は定かでなく、少し前に亡くなった妻が仕事を補佐していたらしいことくらいしか思い浮かばない。

 送られてきたメールには、文書ファイルのほか、芝居の台本のようなテキストと、画像ファイルと音声ファイルが添付されていた。アレックは退屈しのぎにそれらの解読を始めたが、そこにあったのは人と話す猫にまつわるおぞましいストーリーだった。

 帰宅後、この話の真偽に疑問を持った彼は、ウィンタートン博士を訪ねたことで、この恐ろしいストーリーが妻の死に関わっているのではないかと思い始める。その彼の好奇心が、彼自身を追い詰めていくとは知らずに……。

 本書は、英米で大ベストセラーになった「パンクなパンダのパンクチュエーション」などの著作を持つイギリス生まれの作家によるホラー小説。猫好きが卒倒するような邪悪な猫が登場する、予想外の方向へ連れていかれる異色作だ。

 (東京創元社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  2. 2

    【独占告白】火野正平さんと不倫同棲6年 元祖バラドル小鹿みきさんが振り返る「11股伝説と女ったらしの極意」

  3. 3

    立花孝志氏の行為「調査要求」オンライン署名3万6000件に…同氏の次なるターゲットは立憲民主党に

  4. 4

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  5. 5

    眞子さん渡米から4年目で小室圭さんと“電撃里帰り”濃厚? 弟・悠仁さまの成年式出席で懸念されること

  1. 6

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  2. 7

    オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

  3. 8

    斎藤元彦知事に公選法違反「買収」疑惑急浮上しSNS大炎上!選挙広報のコンサル会社に「報酬」か

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議