「年金不安の正体」海老原嗣生著
年金への不安をあおる政治家や専門家、マスコミの嘘を暴き、問題の本質を解説するテキスト。
もろもろの「年金破綻論」の始まりは「賦課方式と積立方式」という年金制度の根源的な違いに対する誤解だと指摘。日本をはじめ先進国の多くが賦課方式で年金制度を運営している。一見すると合理的に見える積立方式や税方式には決定的な問題があり、不合理に見える賦課方式の方が利便性が高いからだという。それぞれの長短所を解説しながら、「年金財政は破綻しており、このままでは積立金が底をつく」「現在でもすでに500兆円もの積み立て不足が発生している」など、ちまたにあふれる現行制度への批判をことごとく論破。賦課方式は、国と制度がある限り続くと断言する。
(筑摩書房 780円+税)