BBCの調査で判明した21世紀の新階級
英国放送協会(BBC)では、数週間で16万人からの回答が寄せられたという英国史上最大規模の階級調査を実施。
この調査をもとに自分の階級が分かる算出装置をウェブ上に公開したところ、1週間以内に英国の成人の5人に1人のアクセスがあったという。
経済格差はより一層深刻となり、多くの人が意識する関心事となっている。
マイク・サヴィジ著「7つの階級」(舩山むつみ訳 東洋経済新報社 2800円+税)では、BBCが明らかにした新しい社会階級を解説。英国社会で起きている分断についても考察している。
BBCによる階級調査では、回答者の経済資本(所得・貯蓄・住宅資産)、文化資本(学歴・趣味・教養)、社会関係資本(人脈)の3つの蓄積量を測定。測定値の特徴ごとに、社会階級を新たに分類している。
これによると、すべての資本を多く持つ上位6%の「エリート」をはじめ、若く貧しいが文化資本と社会関係資本は豊かな「新興サービス労働者」、すべての資本に恵まれない「プレカリアート」など7つがあり、階級が上流、中流、労働者の3つに分けられていた時代ほど、社会構造が単純なものではなくなってきていると述べている。
本書では、各階級の意外な表情も紹介している。例えば、調査には「エリート」に属する人ほど回答率が高かったという。オックスフォード大学の卒業生の参加率は、その他の大学の卒業生の約2倍。CEOの回答率も専門職などと比べて2倍だったという。その理由のひとつとして本書は、自分が頂点に上り詰めたことを確認し、個人的満足を得る機会にしたのではと推測している。
日本の現状にも当てはまりそうな、興味深い調査だ。