「移民の経済学」友原章典著
経済学の研究成果を概観しながら、急増する移民の日本経済や社会への影響を分析したテキスト。
2018年時点で、移民の数は約250万人。外国人労働者数も146万人にのぼり、法整備によりさらに増加の一途をたどることは間違いなく、現在の日本経済は、外国人の存在なしに語れない。移民が増えると凶悪犯罪の増加を心配する人もいるが、データにはその明白な証拠はないという。移民の受け入れを増やすことで、労働力不足などが解消されるといわれる一方で、生産性が改善されるという意見にはそれを確実に裏付ける研究がないそうだ。
移民の増加で仕事を奪われたり、賃金が下がるなど、移民が労働市場に与える影響や、税・社会保障の負担増加への不安など、移民による恩恵と弊害を考察する。
(中央公論新社 820円+税)