「定年後のお金」楠木新著
人生100年時代といわれるが、退職金や年金を受け取っているのに、自分の楽しみにお金を使っている定年退職者は意外に少ない。本書は、そんな中高年サラリーマンたちのお金の問題について考察したエッセー。
国際意識調査の結果や、巷にあふれる「定年後に必要な資金額」などの情報を取り上げ、老後のお金の不安は「実はお金の問題ではなく、自分の中にある未来に対する不安であり、将来の出来事に対応できない恐れではないか」と指摘。お金を使うのは本来は楽しいはずだが、定年後、使い道が分からなかったり、使うことができなかったりする人がいる。貯蓄や投資が自己目的化している人もいる。家計財産をどのように管理するかを論じながら、人生を豊かにする生き方を考える。
(中央公論新社 840円+税)