「おれは百歳、あたしも百歳」沖田正午著
令和30年、日本人の平均寿命は女性117歳、男性110歳に達した。間もなく100歳を迎える任三郎は1つ上の妻・伴子と、136歳になる寝たきりの母親・千代子を介護する日々。
一家は離婚寸前の息子夫婦や、そのひきこもりの息子と子連れ出戻りの娘など、5世代8人で暮らしている。
ある日、任三郎に兄嫁の桃代から連絡が入り、認知症の夫・富二夫が徘徊(はいかい)して国府津という駅で保護されたので迎えにいってほしいという。しかし勘違いした任三郎は甲府に向かってしまう。桃代から罵詈雑言を浴びせかけられた任三郎は、売り言葉に買い言葉で富二夫を自分の家に引き取ると言ってしまう……。
超長寿社会の悲喜劇を描く書きおろしユーモア小説。
(実業之日本社 700円+税)