「エンペラー・ファイル」徳本栄一郎著
ジャーナリストである著者は、「ニューズウィーク」特派員として昭和天皇との単独インタビューに成功したクリッシャーから、昭和天皇の通訳を務めた真崎秀樹のインタビューの録音テープを受け取った。著者は真崎テープで、社交辞令のような会話を延々と聞かされることを覚悟したが、その内容は驚くべきものだった。
昭和天皇は謁見(えっけん)した海外の要人とかなり生々しい政治的会話をしていた。
英国の情報機関に関わる人物とインドネシアの共産化阻止について話すなど、まるで情報機関の幹部のインテリジェンス・ブリーフィングのようだった。
3代の「象徴天皇」が情報を集め、受け継いでいった独自の「立憲君主像」の真実に迫る。
(文藝春秋 1500円+税)