「人の絆、音楽とともに」池辺晋一郎著
作曲家である著者は、作品を演奏するためのパート譜の作成を写譜の会社に頼んでいるが、その会社では楽譜のコピーや製本もやってくれる。
教え子の作曲科の学生が片面仕様の「いい紙質のいい五線紙」を作ったので、広島市に委嘱されたオペラ「じゅごんの子守唄」を作曲したとき、その紙を使った。それは2幕、上演時間3時間の大作で、700~800ページになった。広島まで楽譜を持って通わなくてはいけないのに、重くて持てない。そのため、写譜会社に薄い紙で両面コピーして製本してもらう羽目になった。写譜会社はこんなこともやってくれるのだ。
部外者にはわからない作曲家の日常をつづったエッセー。
(新日本出版社 2600円+税)