「母ではなくて、親になる」山崎ナオコーラ著
独身時代から子供を産み育てたいと思っていた著者は、流産と妊活の末に36歳で妊娠。8カ月で前置胎盤と診断され、帝王切開で出産をした我が子の子育ては、本や雑誌で見聞きしてきたこととは大違いだった。
育児は大変、孤独、最初の3カ月は地獄などと聞いていたが、「全然そんなことないな。面白いだけ」。赤ん坊に対して自分らしくないことをする気はないという著者は、妊娠中に「母ではなく、親になろう」ということだけは決めていたという。母親だからと気負わずに過ごせば世間で言われている「母親のつらさ」というものを案外味わわないで済む。親として子育てするのは意外と楽だと。
そんな「親」として赤ん坊が1歳になるまでの日々を独自の視点からつづった出産・子育てエッセー。
(河出書房新社 790円+税)