「高峰秀子の反骨」高峰秀子著

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 市川崑監督の映画「東京オリンピック」に対する賛否両論がジャーナリズムを騒がせた。「記録性がないからダメ」という否定派と、「人間が出ていてイイ」という肯定派である。高峰は市川がオリンピック映画の総監督に選ばれたとき、「お役人もなかなかしゃれた人に目をつけたじゃないか」と思ったが早とちりだった。関係者は市川の映画を見たことがなかったのでは。でなければ完成したフィルムを「編集しなおせ」などと言えるはずがない。

 市川は「記録映画の“記録”という文字にこだわった批評には反論する気もしない」と言う。役人の不勉強の結果が「批判」という偉そうな言葉になったのでは。

 反骨精神旺盛な高峰のエッセー集。

(河出書房新社 1800円+税)

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