「『自民党“公明派”』20年目の大失敗」古川利明著/第三書館
「自民党“公明派”」とは、公明党が自民党の一派閥になってしまっているという意味だが、安倍(晋三)ファッショ政権のブレーキ役を自称しながら、実はそのアクセルを踏んでいて、新型コロナウイルスのように日本の民主主義を破壊していると著者は指弾する。
月刊誌連載の形でそれを具体的に明かし、たとえば、維新が推進してきた「大阪都構想」に公明党はこれまでは反対してきたのに、突如賛成するという「羽がちぎれんばかりの激しいコウモリ飛行」を始めたのである。「ギャンブル依存を助長させる」カジノ法案に対しては“自主投票”の形をとって、賛否を分けるというミエミエの「きめ細かい芸」を見せた。安倍政治がうんぬんされるが、その延命に強力な助っ人となっているのが公明党(創価学会)であり、私は共犯者だと思っている。
1975年に創価学会は共産党と、いわゆる「創共協定」を結んだ。公明党には変わらずに共産党とケンカさせ、学会としては共産党と手を握って共産党を黙らせるという池田大作の悪知恵によるものだったが、私は今度、当時の共産党のドンの宮本顕治と池田に焦点を当てて「池田大作と宮本顕治」(平凡社新書)を出した。松本清張の仲介で会った2人は「毎日新聞」でほのぼのとした対談をし、「池田大作 宮本顕治 人生対談」(毎日新聞社)にまとめている。多分、これは特に創価学会員の間では忘れられているのだろう。あるいは意識的に忘れるように消滅工作が進められているのかもしれない。
これを書く過程で驚いたのは、学会に「池田大作ミイラ化計画」があったということだった。矢野絢也が公明党の書記長だった頃、学会の長期戦略を練っているエリート集団が矢野に、池田が亡くなったら遺体をミイラにしたいと相談してきたという。
レーニンや毛沢東は偉大なる指導者として遺体が永久保存されている。それと同じように「レーニン廟」のようなものをつくりたいのだがと言われて、矢野は「日本では死体に手を加えたら死体損壊罪に問われるぞ」と答えたが、彼らは「そこを政治の力で何とかできないか」と食い下がったとか。
矢野は「私が愛した池田大作」(講談社)で、「こんな馬鹿げたことをまさか池田氏が指示したとは思わないが、池田氏に『後世に名を残したい』という強い執念があるのは間違いない」と述懐している。しかし、「ミイラ化計画」は復活しているのではないか。 ★★半(選者・佐高信)