「炭水化物は冷まして食べなさい。」笠岡誠一著

公開日: 更新日:

 炭水化物は糖質の塊でダイエットの大敵。弁当のご飯は半分残す、夜はご飯を抜いておかずだけ食べるなど、すっかり悪役になってしまっている。

 しかし、栄養学と食品化学が専門の著者は、炭水化物こそが最高のダイエット食であると断言している。ただし、食べ方にはひと工夫が必要で、それは“冷まして”食べること。そうすることで炭水化物の中のでんぷんが「レジスタント(消化されにくい)スターチ(でんぷん)」に変化するためだという。

 レジスタントスターチは通常のでんぷんとは異なり、小腸で吸収されずに大腸まで届く。そして大腸をきれいにして善玉菌優勢の腸内環境を築くことにつながる。

 そもそも炭水化物の中には食物繊維がたっぷりと含まれていて、腸内環境を整える働きも担っている。ダイエットと称して炭水化物を抜くと便秘になる人が多いが、これは食物繊維が不足してしまったサインなのだ。

 とはいえ、ホカホカご飯をはじめ温かい炭水化物は小腸でも吸収され、少なからず血糖値にも影響を及ぼす。ところが、冷めると吸収されにくくなる一方、食物繊維の働きはそのまま残る。これが、最高のダイエット食たるゆえんであると本書。

 レジスタントスターチは、加熱調理後に冷蔵庫などで4度まで冷やすと増えると考えられてきた。しかし近年の研究では、常温に1時間程度おけば十分に増えることが分かってきた。つまり、弁当のご飯は温めない、おにぎりにして時間をおく、うどんやソバならザルで食べるなどのちょっとした工夫でOK。このひと工夫で、炭水化物は太るどころか、体を健康にしてダイエット効果も期待できる食べ物になるのだ。

(アスコム 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    六代目山口組・高山若頭の相談役人事の裏側を読む

  2. 2

    大物の“後ろ盾”を失った指原莉乃がYouTubeで語った「芸能界辞めたい」「サシハラ後悔」の波紋

  3. 3

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  4. 4

    フジ経営陣から脱落か…“日枝体制の残滓”と名指しされた金光修氏と清水賢治氏に出回る「怪文書」

  5. 5

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  1. 6

    上沼恵美子&和田アキ子ら「芸能界のご意見番」不要論…フジテレビ問題で“昭和の悪しき伝統”一掃ムード

  2. 7

    “路チュー報道”STARTO福田淳社長がフジ新取締役候補というブラックジョーク…堂本光一も痛烈批判

  3. 8

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希 160キロ封印で苦肉の「ごまかし投球」…球速と制球は両立できず

  5. 10

    ダウンタウン浜田雅功“復帰胎動”でまたも「別人疑惑」噴出か…中居正広氏「病後復帰」では陰謀論がワンサカ