「炭水化物は冷まして食べなさい。」笠岡誠一著
炭水化物は糖質の塊でダイエットの大敵。弁当のご飯は半分残す、夜はご飯を抜いておかずだけ食べるなど、すっかり悪役になってしまっている。
しかし、栄養学と食品化学が専門の著者は、炭水化物こそが最高のダイエット食であると断言している。ただし、食べ方にはひと工夫が必要で、それは“冷まして”食べること。そうすることで炭水化物の中のでんぷんが「レジスタント(消化されにくい)スターチ(でんぷん)」に変化するためだという。
レジスタントスターチは通常のでんぷんとは異なり、小腸で吸収されずに大腸まで届く。そして大腸をきれいにして善玉菌優勢の腸内環境を築くことにつながる。
そもそも炭水化物の中には食物繊維がたっぷりと含まれていて、腸内環境を整える働きも担っている。ダイエットと称して炭水化物を抜くと便秘になる人が多いが、これは食物繊維が不足してしまったサインなのだ。
とはいえ、ホカホカご飯をはじめ温かい炭水化物は小腸でも吸収され、少なからず血糖値にも影響を及ぼす。ところが、冷めると吸収されにくくなる一方、食物繊維の働きはそのまま残る。これが、最高のダイエット食たるゆえんであると本書。
レジスタントスターチは、加熱調理後に冷蔵庫などで4度まで冷やすと増えると考えられてきた。しかし近年の研究では、常温に1時間程度おけば十分に増えることが分かってきた。つまり、弁当のご飯は温めない、おにぎりにして時間をおく、うどんやソバならザルで食べるなどのちょっとした工夫でOK。このひと工夫で、炭水化物は太るどころか、体を健康にしてダイエット効果も期待できる食べ物になるのだ。
(アスコム 1400円+税)