「私は女になりたい」窪美澄著
カメラマンの夫と別れたときはせいせいした。だが、あの人と別れたときは魂がちぎれるようだった。あのときの私は1人の女だった。母の介護費と、息子の教育費を稼ぐために、赤澤奈美は美容皮膚科医院の雇われ院長をしていた。
ある日、薄毛治療にやってきたのが、業平公平だった。結婚式までになんとかしたいという話だったが、治療の途中で来なくなった。街で偶然、業平に会ったとき、元彼を忘れられない婚約者と別れたことを知る。時折、食事をするようになるが、奈美は47歳、業平は14歳年下だ。業平が真っ赤なバラのブーケを持ってきた日、2人は男女の仲になった。
ときめきを取り戻した女医の「最後の恋」を描く。
(講談社 1600円+税)