「嫉妬の正体」谷沢永一著
「人間性の究極の本質は嫉妬である」と説いた著者が残した名著の復刻。
悪徳の最たるものとして語られる嫉妬だが、日本人は嫉妬心が強く「他を圧して抜きんでた顕著な存在を、許容したがらない傾向を持つ」と指摘。一方でその嫉妬心が日本の国際競争力を促す動因になった面もあるという。
実業家の松下幸之助は、嫉妬とは万有引力のようなもので精神力で取り除くことはできない。ゆえに嫉妬心はキツネ色に程よく妬(や)くならかえって人間の情は高まると語っている。
そうした先人たちの言葉をひきながら、嫉妬と羨望の違いなど、嫉妬の正体に迫る。
坪内逍遥に激しく嫉妬した森鴎外など、有名人らのエピソードを紹介しながら、自らの嫉妬心との向き合い方や、他人からの嫉妬の避け方などを語る。 (祥伝社 900円+税)