「JR品川駅高輪口」柳美里著
志望校に落ち、滑り止めの高校に通う百音は、校則よりも厳しい掟で縛り合うイツメン(イツモイッショデナケレバイケナイメンバー)と本心を隠して付き合う日々。母親は弟の中学受験のことしか頭にない。
そんな百音の日課は、人けのない品川駅の臨時ホームでたばこを片手に、自殺志願者が集まるネット掲示板をのぞくこと。金曜の夜、イツメンとのカラオケを終え帰宅した百音は、掲示板の投稿者3人にメールを送る。翌日、百音は母親が弟を関西の学校に入学させようとしていることを知る。父親に愛人がいて、ゆくゆくは離婚するらしいが、もう百音にはどうでもいい。日曜の夜、百音は湯河原駅で初対面の3人と合流する。
少女の乾いた孤独を描いた長編。全米図書賞受賞作「JR上野駅公園口」に並ぶ山手線シリーズ。
(河出書房新社 740円+税)