「空想居酒屋」島田雅彦著
長年、国内外の酒場を飲み歩き、自らも包丁を握る作家による食エッセー。これまで訪れた居酒屋や楽しんだ酒と肴(さかな)、出会いを思い浮かべながら、理想の居酒屋をプラン。そして最後には、思い描いた空想居酒屋を一夜限りで開店するまでをドキュメント風につづる。
以前訪ねたときの充実の食い倒れ体験が忘れられず再々訪した韓国・全州マッコリタウンの旅に始まり、自宅近くでふらりと入った何の変哲もない店で考えた居酒屋の「離れ」的役割、仕事で出かけた高知では室戸岬まで足を延ばし、100均で買い揃えた道具と魚屋で手に入れた食材で即席バーベキューを楽しみ、臨時居酒屋で出す魚について考えるなど。
うまい酒うまい肴の情報もふんだんに盛り込みながら、理想の居酒屋を実現する。
(NHK出版 950円+税)