「香港映画 100の情景」林加奈子、美山恵子著
香港映画はノワール映画も面白い。香港はセキュリティーがしっかりしていて、建物のドアは二重扉で、外側は鉄の扉である。「メイド・イン・ホンコン」では鉄扉だけ閉め、内側の扉を開けて風を通していた。開閉の音はうるさいが、映画の中で銃弾が鉄扉に当たるカキーンという音は臨場感を増幅する。
また、香港人は地下鉄の中でもレストランでも、携帯電話が鳴ると躊躇なく出る。警察が相手を追い詰めた緊迫したシーンでも、携帯電話が鳴る。香港人は携帯電話をマナーモードにしないのだ。
香港に詳しい2人の著者が、武侠映画からコメディー、ラブロマンス映画まで、ノーマン・ワンからジョニー・トーまで香港映画のすべてを語る。 (言視舎 1980円)