「あしたの官僚」周木律著
「国民公共保全法(公保法)」は、撹乱、騒乱、暴動などから国民の安全を確保するための法である。厚生労働省公共保全局の松瀬尊(たかし)のもとに、国会議員・多賀恵美子が仲介する、公保法一本勝負という陳情がくる。
多賀の地元、新潟県佐間市の集落・田太(ただ)で「ミョーな病気」がはやっているという。風力発電所が操業してから周辺の住民に頭痛、悪心などの体調不良が発生しているらしい。佐間市は以前、松瀬に公保法のレクを依頼した三ツ藤の地元だ。この件は三ツ藤がたきつけた可能性がある、と松瀬は直感した。
国会議員からの突き上げや関係省庁との確執、国民からの苦情などに取り組む、若手官僚の日々を描く。 (新潮社 2090円)