「クメールの瞳」斉藤詠一著
平山北斗が海岸でアジサシを撮影していたとき、恩師の樫野教授から電話がかかってきた。訳があって、いったん平山に預けたいものがあるという。
ところが、樫野教授は野外調査中に事故で死亡する。通夜の席で、久しぶりに樫野の娘・夕子に会った平山は、樫野からの電話のことを話すべきか迷った。秘密にしておきたいような口ぶりだったからだ。遺書はなかったという。
樫野の研究室の片付けを手伝っていたとき、小さな骸骨の人形と、6491と記した付箋が入っている缶を見つけた。その人形は150年前にフランス人探検家が持っていたものだった。
1866年、フランス領コーチシナで発見された秘宝を巡る、壮大なミステリー。
(講談社 1760円)