「地球を壊す暮らし方」ウルリッヒ・ブラントほか著 中村健吾ほか監訳

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「帝国型生活様式」をキーワードに、グローバルな規模で進む支配と搾取の不公平な構造について解説するドイツのベストセラーである。

 他所の資源を奪取し、他者による過酷な労働とその産物を消費しながら、排出物や廃棄物は他所に押し付ける。そのような生活の仕方を本書は帝国型生活様式と名付けている。そしてそれを行っているのが、欧米諸国など豊かな生活を享受するグローバルノースと呼ばれる地域の人々。奪取され消費されるのが、かつて第三世界と呼ばれた国々や開発途上国と重複する、グローバルサウスだ。

 今、グローバルサウスの人々がグローバルノースへ移り住もうとする理由の多くが、自然破壊による気候変動や干ばつ、あるいは希少な資源を巡る争いのせいで、困窮や暴力のない生活を送る可能性を奪われている点にある。そして、その原因をつくっているのが、他ならぬグローバルノースだ。

 例えば、コンゴで敵対関係にあるとされる民族間の紛争の背景には、スマートフォンやパソコンの製造に用いられる、コルタン鉱石に対するグローバルノースの需要が無関係ではない。また、グローバルサウスの多くの国々では伝統的な農業文化が破壊され、水を巡る紛争が起きている。この破壊は、グローバルノースの企業による工業型農業を、グローバルサウスのわずかなエリートを取り込みながら推し進められることで起きていると本書。

 帝国型生活様式は、グローバルサウスの人々に犠牲を強いるのはもちろん、最終的には地球と全人類の未来も崖っぷちへと追いやる。自分の暮らしや選ぶ商品が、搾取と支配の構造に関わっていないかを考えることからSDGsは始まるのだ。

(岩波書店 3080円)

【連載】ポストコロナの道標 SDGs本

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