<79>幸せな人生だった。悔いはない
練習船みうらのエンジンがかかった。
甲板に出ると、ファンネルから黒煙が漂っていた。重油の匂いが鼻をつく。
桃地はこの匂いが嫌いではない。いざ海へ出発だと体中の細胞が高揚する一方で、今日は緊張感と大きな不安がある。
彩子に万が一のことがあっても、病院に駆け…
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