「LIFE CHANGING」ヘレン・ピルチャー著 的場知之訳

公開日: 更新日:

 アメリカ、ペンシルベニア州ピッツバーグにある自然史博物館の案内役フレックルズは、外見はヤギだが実はヤギとクモのDNAを持っている。ここには他にも3つの生物種のDNAを持つサケの剥製などがある。

 これらは恣意的に改変された生物だ。環境が変化するスピードが速まると生物の進化も加速し、水質汚染に適応するために毒物に耐性を持つ魚が生まれたり、気候変動に対応する羽色を持つ鳥が生まれる。これらはヒトの行ったことに対する反動である。

 現在、ヒトは地球上の進化の方向を決める主な要因となった。過去の30億年の大半、地球上の新たな種は数千年かけて生じたのに、ヒトの出現により地球の自然史は終焉を迎えた。ヒトが生物を家畜化し、人工授精を行うことで、原始的な家畜品種の多くが絶滅している。

 ヒトによる生命操作がもたらすものに目を向けた警告の書。

(化学同人 2860円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動