「すばらしきアカデミックワールド」越智啓太著
心理学の論文にはオモシロ論文も少なくない。2013年のアコスタらの研究によれば、はりつけにされたキリストの絵は右側を向いて左顔を見せているものが多い。キリストを描いた550枚のうち496枚が右向きだった。人間は右顔より左顔に感情が表れるので、画家がキリストの苦悩を効果的に表現するために左顔を描いたに違いない。
マタイの福音書によると、キリストは弟子たちに右の頬を打たれたら「反対側の頬を差し出せ」と言ったとあるので、右向きにしたのかも。
2016年のドゥエクセンらの論文では、ブッダの絵画と比較して、ブッダは正面を向いていることが多いと指摘している。
他に、チョコレート消費量とノーベル賞受賞者数には関連があるとした論文などユニークな論文を紹介。
(北大路書房 2420円)