「昭和・東京・食べある記」森まゆみ著
昭和からの暖簾を守り続ける東京の老舗飲食店の店主に話を聞く食紀行。
まずは上野にある洋食の「黒船亭」3代目の須賀光一氏に話を聞く。同店の始まりは栃木県出身の氏の祖父が明治35年に上野の山下で始めた「鳥鍋」という店だった。大正6年には2代目の父が現在の場所で輸入酒やオードブルを出す、当時としてはモダンな店を。その後も現在の「東天紅」の前身となる中国料理店をはじめ、日本料理や高級洋品店など事業を拡大。現在の店のメニューは、昭和44年開業の「レストランキクヤ」の味を引き継いでいるという。
他にも、昭和3年に鳶のかしらだった鈴木吉太郎氏が、鳥鍋の創業者・惣吉氏に誘われ創業した天ぷらの名店「天寿ゞ」など、39の名店を巡る。
(朝日新聞出版 979円)