「てんまる」山口謠司著
書名の「てんまる」は、日本語の文章を書くときだけに使われる記号「、」「。」のこと。例えば「ここではきものをぬいでください」(ここでは、着物を脱いで下さい)(ここで、履き物を脱いで下さい)のように、日本語はどこに「、」を打つかによって、意味が大きく変わってしまう。一方で、結婚式の招待状などには、文章を切る「てんまる」は、「絆を切る」につながると、縁起をかつぎ、入れないことになっている。
文章を黙読する習慣がなかった時代にはほとんど必要がなかった「てんまる」は、明治時代の教育制度の開始と同時に生まれたという。
古典からマンガまで、多くの作品の「てんまる」に注目しながら、その歴史と日本語に果たした役割を考察するテキスト。
(PHP研究所 1056円)