「ケミストリー世界史」大宮理著
社会や政治、戦争などといった出来事の根本にある「物質」が、どのように発見され実用・応用されてきたのか。そのつながりの因果関係から人類の歩みを読み解いていく面白テキスト。
氷河期だった3万年前ごろ、極寒の高緯度地方にもホモ・サピエンスの進出を可能にした防寒着を作るための「縫い針」など先史時代に始まり、古代ギリシャの都市国家の繁栄を支えたオリーブオイル(オイル)とブドウ(ワイン)、ローマ帝国が使いこなしたコンクリート(128年)、800年ごろ中国で発明された火薬、後に現代文明を支える物質となる天然ゴムの南米からヨーロッパへの伝播(1735年)など。宇宙誕生から1945年の原子爆弾の使用までの人類と化学の壮大なドラマをつづった大作。
(PHP研究所 1298円)