「旧友再会」重松清著
新幹線の駅で客待ちをしていたタクシー運転手の青田は、乗り込んできた客から「あおちゃんだろ」と呼びかけられる。客は小中学校で同級だった川村だった。38年ぶりの再会だ。東京の大手不動産会社で部長を務めているという川村が告げた行き先は、母親が入居する特別養護老人ホームだった。
車中、川村は親しげに話しかけてくるが、青田は子供時代にどちらかというと彼が苦手だったことを思い出す。川村は、月に1度帰省して母親と面会し、1人暮らしの父親の世話をしているらしい。
夜、青田のタクシー会社に警察から協力要請が舞い込む。老人が行方不明になっているという。どうやら川村の父親のようだ(表題作)。
老いの入り口に差しかかった登場人物たちの旧友との再会を描く作品集。
(講談社 858円)