「京都の食文化」佐藤洋一郎著

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 古都・京都は、精進料理や懐石料理、本膳料理など和食の体系を生み、いまもその文化を発信している。

 一方で、京都はイタリアンの街であり、パン食も盛んで、コーヒーの消費量は日本一。さらに「おばんざい」といわれる庶民の日常の食や、「ぶぶ漬け」と呼ばれる茶漬け文化もある。

 こうした京都の食文化が培われたのは、良質な地下水が利用できたこと、盆地で山と川の食材が入手しやすかったこと、そして人同士の関係が世代を超えて続いてきたことにあると著者はいう。そして何よりも、都であったために1000年以上も前から全国の産物が集まり、その食材同士を組み合わせ奇跡の味を生み出してきた。

 風土、人、そして歴史に着目しながら、そうした京都の興味深い食文化を読み解いていく食探訪記。

(中央公論新社 968円)

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