「花ざかりを待たず」乾ルカ著
「花ざかりを待たず」乾ルカ著
腰痛に悩む椎名利夫は痛みが治らないため、病院で検査を受けた。家族同席で膵臓がんを告知される。既に治療のできる状態ではなく、余命1年。
妻の慶子は利夫が行きたがっていた黒部峡谷への旅行を考えるが、腰痛で断念する。それより利夫が望んでいる長女の由希子の花嫁姿を見せたい。次女の真理子は結婚して子どもが2人いるのに、由希子は40歳で独身。10年前に賞をもらった作家だが、今はマンガの2次創作をしている程度だ。
慶子が由希子の結婚相手に期待していた川崎は、単なる目くらましらしい。そんななか、利夫に腹水の症状が現れた。
父との別れを見つめる家族の日々を淡々と描いた小説。
(光文社 1870円)