「50歳からの心の疲れをとる習慣」下園壮太著
「50歳からの心の疲れをとる習慣」下園壮太著
若い頃から体力には自信があり、徹夜した翌日でも何事もなかったように活動していたものだ。しかし、最近では徹夜どころか睡眠時間が6時間を切るともうダメ。疲労の蓄積を感じるだけでなく、うっかりミスをしたりイライラすることも増えるようになってきた。
そこで手に取ったのが本書。心理カウンセラーの著者によると、年齢を重ねると体だけでなく心の疲れもたまりやすくなるという。物忘れが増えるなどの地頭の低下、変化が怖くなることによるチャレンジ意欲の低下などに気づかないまま、今まで通りのペースで活動することで心が疲れてしまうのだ。さらに、加齢は体の疲れも取れにくくするため、集中力や判断力の低下も招きやすく、ますます心を疲弊させる。
まずは体をケアすることが心の疲れの解消につながるというので、本書が勧める「おうち入院」をやってみた。その内容は実に簡単。3日ほど休みを取り、眠れるだけ眠るのだ。心の疲労がたまりすぎていると夜に眠りにくくなるが、おうち入院すれば昼間に眠れる。とにかく時間を気にせず眠ることを心がけて過ごしてみたところ、3日目の夜には体が軽くなっただけでなく心もスッキリと晴れたような気分になった。
体の疲れを取ったら、軽い運動で自信の回復を試みるのもいいという。年を取ると、今までできていたことができなくなるなどの変化で自信が失われやすい。そこで、筋トレやストレッチ、散歩などの軽い運動を心がけてみた。すると、“自分はできる”とシンプルに感じることができ、達成感や自信回復につながり心にも力がみなぎってきた。
年を取るほど心の疲れをケアすることが重要であることを肝に銘じたい。 〈浩〉
(日経BP 1650円)