「月夜の散歩」角田光代著
「月夜の散歩」角田光代著
人気作家のエッセー集。
「料理好きには得意料理ではなく、不得手料理を訊くべし」が持論だという著者は、天ぷらが不得手だという。しかし、天ぷらはどんなに上手でもプロにはかなわないから驚くほどのことではない。
実はもっと不得手なのがポテトサラダなのだと打ち明ける。ポテトサラダは大好物だし、今まであれこれ試行錯誤しながら数え切れないほど作っているが、一度も「これはうまいっ」と思うものができたことがない。カレーも同様で、十数年、作り続けてもなぜ上達しないのか、それが謎だという。
そんな食にまつわる話から、なぜかラップにだけは必要以上にケチになってしまう自らの習性や、人生で初めて猫を飼って驚いたことなど。作家の素顔と日常が垣間見られるファン必読本。 (新潮社 693円)