「幻のレコード」毛利眞人著
「幻のレコード」毛利眞人著
日本では昭和9年から20年までレコード検閲が行われた。淡谷のり子の「別れのブルース」などが発売禁止になったといわれてきたが、実はそういう事実はない。
当初はレコード検閲の法律はなかったので、問題があればその都度、恣意的な検閲が行われてきた。プロレタリア文学、演劇などは内務省警保局が厳しく監視していたが、社会主義者の演説レコードの発売禁止はできず、公開の場での演奏を禁止し、レコード会社に諭示して販売を差し止めていた。
新聞などで報道できなかった五・一五事件は、記念レコードとして発売されたが、街頭での演奏は禁止となった。
レコードにこめられた意外な歴史を紹介するノンフィクション。
(講談社 2310円)