(12)三味線の手入れの間 赤子を預け

私が抱いていようかと、そう聞かれた。
何をと一瞬頭を巡らせたが、そんなもの己の腕の中にいる赤子しかない。
稽古をつけに次の家へと向かう道中、三味線の糸が切れているのに気づき、近くの茶屋の床几を借りて必死に掛け直している最中のことであった。声の主を見上げてみれば、…
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