「アメリカ映画の文化副読本」渡辺将人著
「アメリカ映画の文化副読本」渡辺将人著
映画の舞台がどこであるかは、メッセージを際立たせるうえで欠かせない重要な要素である。「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」の舞台はアイルランド系労働者が多いボストン南部だし、「チェーン・リアクション」の舞台は黒人貧困街の中に浮島のようにシカゴ大学の研究所があるシカゴ南部である。
都市にはアメリカ人が投影しているステレオタイプが込められており、それが誇張された記号として出てくる。サンフランシスコはゲイの街でウルトラリベラルだが、ミシシッピはKKKなど人種差別をする白人の故郷、という具合だ。
知っているとアメリカ映画がより面白くなる、映画鑑賞ガイド。
(日本経済新聞出版 1980円)