(43)南畝の狂詩狂文集、序文源内
小紫が本を差し出した。
「重さんは御存知かえ?」
蔦重は貸本や細見の仕事にかこつけ、花魁の本間に上がり込んでいる。
もっとも水入らずというわけにはいかず、小紫付きの禿がこちらを窺っている。
冊子には『寝惚先生文集初編』の題箋。
「懐かしいなぁ…
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