「首里城と沖縄戦」保坂廣志著
「首里城と沖縄戦」保坂廣志著
戦時下の1944年10月10日、米軍は沖縄で大規模空襲を実施。同時に行った空撮写真の分析で、首里が軍事要塞地であることを突き止めた。
一方、沖縄戦を指揮する第32軍司令部は大空襲後に海岸部での「水際作戦」から、敵を上陸させ一日でも長く戦う地上戦に戦略を大転換。地形を利用した陣地の構築に全力を挙げ、その最大の築城が琉球王国時代に築かれた首里城の地下に構築した地下司令部壕だった。約4カ月の突貫工事で地下30メートル、総延長1キロに及ぶ壕が完成。しかし、米軍の攻撃を受け6月1日、地下司令部壕は完全に制圧される。
日本軍がなぜ首里に司令部を置いたのか、地下司令部の役割や構造、そして米軍との攻防を詳細に分析しながら、県民に多くの犠牲を強いた沖縄戦の実態を描き出す。 (集英社 1012円)