「沖縄密約ふたつの噓」諸永裕司著

公開日: 更新日:

「沖縄密約ふたつの噓」諸永裕司著

 1972年、国会で野党の代議士が一枚の文書を手に時の総理・佐藤栄作に迫った。その文書とは、沖縄返還を巡り政府が否定し続けてきたアメリカ側との密約があったことを裏付ける外務省の機密電信文の写しで、新聞記者の西山太吉氏が入手して代議士に渡したものだった。その後、西山氏と機密電信文を渡した外務省の女性事務官の関係が暴かれ、そのスキャンダルばかりに注目が集まり、密約問題が問われることはなかった。

 本書は、夫に裏切られ、それを世間にさらされた上、夫をおとしめた国の嘘にも苦しみ続けた西山氏の妻・啓子さんと、西山氏が国に挑んだ情報公開請求訴訟(1審)で歴史的な判決を導き出した小町谷育子弁護士の2人が主人公。

 女性2人の視点から国家によって葬られた西山氏の足跡を追ったノンフィクション。

(集英社 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    氷川きよし再始動で囁かれるファン離れ“2つの理由”…救いは「信仰」仲間からの強力支援

  2. 2

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3

    尾行、妨害、不倫、元女性誌編集長…松本人志vs文春の裁判がスゴいことになってきた

  4. 4

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  5. 5

    ソシエダ久保建英のレアル復帰は「完全消失」…エムバペら《新銀河系軍団》に割って入る余地ゼロ

  1. 6

    渡部建はキスなし即ベッド“超自己中SEX” 元カノ女優が激白

  2. 7

    創価学会・池田大作名誉会長が芸能人に与えた多大な影響 久本雅美、ナイツ、石原さとみも“ガチ信者”

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    元バレー日本代表・狩野舞子が女性から総スカン…度重なる“匂わせ”でジャニオタまで敵に

  5. 10

    離職後、定年後は何をしたい? 第2位「まだ考えていない」…では第1位は?