「台湾人の歌舞伎町」稲葉佳子、青池憲司著
「台湾人の歌舞伎町」稲葉佳子、青池憲司著
新宿・歌舞伎町を舞台にした映画や小説に必ず登場する建物「風林会館」をはじめ、有名なライブハウスが入る「アシベ会館」、名曲喫茶「らんぶる」や「でんえん」「スカラ座」、歌声喫茶「カチューシャ」などの喫茶店、さらにキャバレーなどの多くの娯楽文化施設は台湾人が創業したものだという。
昭和21年、2人の日本人が焼け野原だった現在の歌舞伎町を興行街として復興させるべく壮大なプロジェクトを構想。しかし、計画は遅々として進まず、10年後の「コマ劇場」の開場でようやく興行街としての「歌舞伎町」が完成したという。
こうした正史とは異なる視点で、台湾の人々によって形作られたコーヒー文化や映画街など歌舞伎町のもうひとつの歴史を当事者たちの証言でたどるノンフィクション。
(筑摩書房 968円)