「最終列車」原武史著
「最終列車」原武史著
鉄道を愛する政治学者が鉄道を手掛かりに社会を見つめるエッセー集。
まずは「菊と鉄道」と題し、皇族と鉄道との関係を論じる。昭和天皇は、皇太子時代から専用のお召し列車に乗ることが多かったのに対し、現上皇・上皇后はお召し列車以外にも、新幹線はもとより、国鉄時代の特急から普通列車、さらに私鉄や第三セクターのトロッコ列車まで、実に多種多様な電車や列車に乗ってきたといい、おふたりと鉄道の関係を振り返る。
昭和、国鉄解体とJR発足、青函トンネル開通などで全国一本化で始まった平成、さらに令和、そしてコロナと、時代の変遷とともに鉄道という交通手段の本質や、公共性はどのように変わってきたのか。
折々に自らの「乗り鉄」体験を交えながら硬軟織り交ぜながらつづる。 (講談社 902円)