しかし、その後、各地の温泉観光地に造られた秘宝館では、女性の集客も見込んで、アミューズメント性が強くなり、医学的要素は排除されてくる。
今は閉館してしまった各施設の概要や興味深い展示物の数々を、写真で紹介。
本物そっくりの身体が模造・収集・展示され、そこを人々が訪れるという秘宝館の最大の特徴である「身体の観光化」の視点から、起源や発達過程を考察。さらに秘宝館の盛衰を、観光の在り方の変化や日本の社会史的背景の変遷とあわせて分析する。世界遺産となることは決してない、消えそうな庶民文化にスポットライトを当てた貴重な史料である。
(青弓社 2000円)