役名でデビュー 「ソロモンの偽証」主演・藤野涼子の将来性
「藤野涼子という役をもらったこの感情を忘れたくなくて、名前をいただきました」
期待の大型新人はかすかに震える声で、でも、力強く語っていた。12日に開かれた映画「ソロモンの偽証」(松竹)製作報告会見。1万人のオーディションで選ばれた主演女優であり、役名をそっくりそのまま芸名として女優デビューする藤野涼子(14)である。
映画は宮部みゆきの同名小説が原作。「藤野涼子という名は特に字画など調べたものではないようですが、物語とその主人公の性格を考慮して作家本人が考えた名前」(出版関係者)だという。
名づけ親となる宮部はこの日、申し出を受けた際、「二つ返事で」快諾したと話していた。
文庫本で計6冊分の長編は映画自体も前後編の2部作という一大プロジェクト。来春公開の作品ながら早々と宣伝プロモーションが展開されるあたり、デカい初仕事だ。
佐々木蔵之介(46)、永作博美(44)、尾野真千子(33)、黒木華(24)といった演技派の先輩らの胸を借りてデビューできるとは、最高に恵まれた環境である。「素朴な普通の中学生が、撮影が進むうちに大人びて顔の輪郭がはっきりとしてきた。みるみるうちに表情が変化していった」とは、母親役の夏川結衣(46)。普段は地元・神奈川の中学校に通う現役中学生である。
これまで出演したドラマや映画の役名を芸名にした芸能人といえば、奥菜恵、河合美智子、早乙女愛、松田聖子、そして三国連太郎がいる。「痛々しいぐらい純粋」(成島出監督)というが、今後、どう化けるか。