三遊亭遊史郎さんが述懐 夫公認で人妻と同棲した二つ目時代
なんだかよくあるエロ小説のようなお話なんですが、それからが大変でした。彼女は夕方出勤して明け方に帰宅する昼夜逆転生活だったので、一緒に居る自分も昼夜逆転した生活になり、おまけに数カ月に一度ある、彼女の劇団の公演を手伝うことになりました。当然、本業の落語はおろそかになり、もともと大したことのなかった収入もどんどん減っていく。それでも家賃とお小遣いは自腹ですから、当然、毎月大赤字。せっかく貯めた150万円ほどのお金はドンドン、ドンドン減っていきました。
彼女だって、劇団運営は出費ばかり。いつまで経っても借金は減りゃしません。2人揃って、あり地獄から這い出せないのですから、困ったものです。今考えると、そんなバカな! と思うのですが、すっかりマインドコントロールされてたんですね。
4年が過ぎ、ある時まじまじと通帳を見ましたら、もう1カ月分ほどしか残高がない。さすがに青くなりましたね。ちょうど彼女も他に男ができたのか、静岡にも私の家にも帰らなくなり、そこでようやく目が覚めました。
スッパリ同棲は解消しまして、豊島区のアパートに引っ越したのは01年ごろ。隣室の携帯電話の着信音が聞こえるような薄ーい壁、隙間風がピューピュー吹き抜けるオンボロアパートでしたが、住めば都。池袋に近いというだけで家賃6万5000円は痛い出費ではありましたが、心を入れ替えて精進しまして、ようやく真打ちになれたのは、それから3年後のことでした。