主役となると疲れの度合いが違う。公演22日間で5回も点滴
「2015年に『南の島に雪が降る』という芝居で初めて主役を演じました。東宝映画で加東大介さんが演じた兵隊役です。座長ですから3時間出ずっぱり。それまでは5番手か6番手くらいの役だったので楽な立場でした。それが主役となると疲れの度合いが違う。もの凄く体力を消耗して、22日間の公演中に5回も点滴を打ちました」
それでも好きな芝居はやめられないという。
「芝居に出てよかったのは、優秀な演出家の方々の指導を受けられたことです。いい演出家は役者をその気にさせる。自分の言いたいことはきちんと言い、役者に考えさせ、ディスカッションしながら稽古をする。絶対に役者をくさらせない。これは僕が弟子に稽古をつけるのに役立ちました。落語の稽古の時は僕が演出家になったつもりで弟子に教えるんです。『僕はこうやってるけど、君はどう思う?』とディスカッションする。すると僕自身、新しい発見があるわけです」
芝居の話をしていたのにいつの間にか落語の話になった。花緑らしい。(つづく)
(聞き手・吉川潮)